彼に対し随分と

その後、帰りのタクシーの中でヒカルは、ホンジョウとのこれまでの何度かのセッションのことを思い出していた。
あれは確か4月上旬ぐらいの・・・5度目辺り?のセッションの時だったと思う。
ホンジョウは彼が以前(今まででもっとも深く)愛し、別れてしまったカノジョと7年ぶりに再会し、今後のふたりの関係についてヒカルはどう思うか?と訊いてきた時のことだった。
ヒカルは自分でも意外だったのだが、その彼に対し随分と余計なことを言ってしまったのだった。

過去世において自分はホンジョウナオキの母だった(ことがある)』
そして、その過去世のヒカルは育児放棄と言った形で彼を捨てたのだと浸大工商管理
だから、そのことを謝りたい・・・、そうヒカルはホンジョウに告げたのだった。

その唐突なヒカルの吐いた台詞について敢えて言うならば、そのひとつ前のセッションにおいて彼がヒカルに言った自分が女性に対し、どうしてもコミットできない」と言ったことへのひとつの回答ではあった。
そしてそのヒカルの吐いた言葉と彼が当時再会したと言うその(忘れられなかった)カノジョとホンジョウとの今後の展開についてはもちろん直接的になんの関係もなかったのだが、問題はそれを言った瞬間におけるヒカルのホンジョウに対する態度だったと言える。
ヒカルは自分がまた・・・あの光を奥底に宿す瞳」で彼を一瞬だけ見つめ、そしてその一連の台詞を意図的に吐いていたことを知っていた。
ホンジョウとのセッションの中で、彼の母であったところの自分と幼い子供だった彼の姿が見えたのは本当だった。
それでもヒカルはあのタイミングで彼にそのことを告げるべきではなかったのだ。
いや、仮にそう告げるにしても自分が例の・・・あのバイブレーションを瞳から発しさえしなければ特に問題はなかったのかもしれない浸大工商管理

自分は普通の人間以上のそんな力」を持っている。

ましてやヒーラーとクライアントとの関係性が、些細なひと言をより過剰なものとしてしまうと言う事実についてもヒカルは十分すぎるほど理解していたはずだった。
ホンジョウが再会したと言う以前愛していたカノジョ(ニカイドウミク)に関する相談をはぐらかすかのようにしてヒカルはその言葉を発したのだ。
ホンジョウがその行間を読むことをヒカルが期待し、その言葉を吐いた?そんな憶測なら仮に誰かがその会話をその場で聞いていたならいとも簡単に出来たたぐいのものだったにちがいない。
いやそんなタイミングや微妙なニュアンスのことはむしろ二の次だった。
根本的な問題は、その文脈におけるそのセンテンスの意味付けに関する問題だろう。
ホンジョウナオキは多くの女性遍歴を持ち、その中でひとりだけ忘れられなかった(再会した)カノジョの存在を意識しつつも、その誰ひとりに対してさえ自分の中で確信できるレベルのコミットメントを持つことができなかった。
そして今後も自分はそれを持てないのではないか?と彼はヒカルに言った。
そのタイミングでヒカルが、彼の過去世における母であり、彼を捨てた・・・」と言ったということは、そこで何を意味するか浸會大學BBA